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2025-04-05

【極楽鼠浄土 ライブレポ】②ゲスの極み乙女

② 13:40〜 ゲスの極み乙女


 

こちらもあまり他のアーティストたちと仲が良いというようなイメージがあまりない、ゲスの極み乙女。そんなバンドが並ぶというあたりにキュウソの分け隔てなく接してきたであろう人間性を感じさせてくれる。

 

撃鉄「部屋」のSEが流れてメンバーたちがステージに登場すると、えつことささみおというサポートメンバーたちのコーラスが川谷絵音(ボーカル&ギター)の歌声に美しく重なっていく「猟奇的なキスを私にして」からスタートし、そのスキルフルな演奏力とポップさの両立っぷりをいきなり遺憾無く発揮していく。ほないこか(ドラム)とちゃんMARI(キーボード)2人もコーラスを重ねることによってそのメロディがさらに美しく感じられる。

 

ちゃんMARIのキーボードがさらに流麗に響き渡る「ロマンスがありあまる」と続くことによって改めてこのバンドがこのバンドでしか絶対に生み出せないような曲をたくさん生み出してきたんだなということを実感するし、それは川谷の言語感覚の鋭さ、一度聴いたら忘れられないような歌詞とタイトルによるものでもあるだろう。

 


 

それは川谷の歌唱の力によるものでもあるなということを実感させてくれるのが「だけど僕は」であるのだが、この初期の曲をセトリに入れてくるというのはキュウソと出会った頃の曲という意味合いもあってのことだろうか。もうこの時からそのスキルフルさによるポップミュージックを生み出すというこのバンドの形は出来上がっていたんだなとも思うし、休日課長(ベース)とほないこかのリズムが本当に強い。力強さとしなやかさを持ち合わせている両者であるということがよくわかるし、だからこそ聴いていて体が揺れてしまう。その観客のリアクションが伝わっているからこそ、川谷も曲終わりで「最高!」と口にしたのだろう。

 

ちゃんMARIがキーボードを弾いたと思ったらその直後には観客を煽るようにして手拍子をする「crying march」では

 

「走り出したら止まれなくて」

 

というサビの歌詞の通りの疾走感を感じさせてくれるが、それもまたリズム隊の力によるものだろう。今や女優としても活躍しているほないこかのドラムが本当に力強いし、その叩きっぷりからは確かな気合いを感じさせてくれる。

 


 

すると川谷が

 

「キュウソと初めて一緒にライブをやったのはもう1213年前に下北沢SHELTER2マンをやった時で。めちゃくちゃ長い付き合いになったなと思う。キュウソのセイヤさんは夜中に電話してもちゃんと出てくれる。この前電話したらゲーム配信してるのに出てくれた(笑)フォーリミのGENは全然出ないし、24時間後くらいに「なんかあった?」って言ってくる(笑)」

 

という実に川谷らしいMCで笑わせてくれると、なんとまだレコーディングすらしていない、つまりは完成していない新曲が披露されるのだが、川谷が

 

「ちゃんMARIが笛を吹く部分があるんですけど、完全に始めたばっかりだから応援してあげてください(笑)」

 

と言ったようにその新曲「シックマン」はちゃんMARIが笛を吹き、ほないこかがドラムを叩きながら川谷の書いたセイヤの手紙を読みあげるというとんでもない展開が次々に訪れるような曲。しかし川谷が

 

「完成してない曲を演奏するのはライブで育てていくバンドだから」

 

と言っていたように、これからさらに形が変わっていく可能性もあるし、それぞれがマルチに活躍しているこのバンドが今でもライブという場所で生きているというスタンスを実感させてくれる。

 

そして休日課長とほないこかのリズムが変拍子を連発しまくるのにメロディ、曲はこれ以上ないくらいにキャッチーで、さらにはサビのコーラスフレーズを観客も含めて一緒に歌うことによってさらにキャッチーさを感じさせる「アソビ」はこうしてこのバンドのライブで遊ぶことがこんなに楽しいものであるということを改めて感じさせてくれると、ここでスペシャルゲストとしてキュウソのヤマサキセイヤが登場。休日課長と一緒に「ドレスを脱げ」のタイトル部分のコール&レスポンスをするのだが、抱き合った際にセイヤはその課長の体のデカさに改めて驚いていた。しかもそのコール&レスポンスだけではなく、セイヤは川谷と肩を組むようにしてこの曲を一緒に歌っている。なんだかその際の川谷の表情が本当に楽しそうで、キュウソと一緒にいることの楽しさをも感じさせてくれる。

 


 

そして最後に演奏されたのは川谷がハンドマイクを持って観客を煽るようにすると「オイ!オイ!」という声が上がる「キラーボール」で、間奏部分ではちゃんMARIのクラシックの素養を遺憾なく発揮する美しいキーボードのサウンドが鳴り響く。それはこのバンドが持つ演奏力の高さは難しいことをやりながらも、その技術によって楽曲を最大限にキャッチーなものにするかのようにすら感じられた。その技術をフルに発揮することこそがこのバンドからのキュウソへの感謝の示し方。やっぱりめちゃくちゃ強いバンドだなと改めて思うし、そんなバンドがずっとキュウソと一緒にライブをやり続けているということを心から頼もしく思っていた。

 


 

 

1.猟奇的なキスを私にして

2.ロマンスがありあまる

3.だけど僕は

4.crying march

5.シックマン (新曲)

6.アソビ

7.ドレスを脱げ w/ ヤマサキセイヤ

8.キラーボール

 

Writer:ソノダマン

PhotoViola Kam (V’z Twinkle)

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