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2025-04-05

【極楽鼠浄土 ライブレポ】③KANA-BOON

③ 14:50 KANA-BOON


 

SHISHAMOと同じく2014年のスペシャ列伝ツアーを一緒に回った仲であるKANA-BOON。いろんなことがありながらも10年以上ずっと一緒にライブをやってきた同志である。

 

メンバーたちが元気よくステージに登場すると、関優梨子(ドラム)だけではなくてヨコイタカユキ(ギター)も鮮やかな金髪姿になっているのが目を惹く中で、谷口鮪(ボーカル&ギター)

 

「セイヤさん、俺が貸してるマイク返せー!(笑)」

 

と目一杯叫ぶようにしてから「シルエット」のイントロが鳴らされるという、クスッとした後に名曲が来るというギャップであり、それはキュウソに通じるものかもしれないとも思うけれど、鮪の歌唱はやはり実に伸びやかであり、このキャパでも隅から隅までその声を響かせることができるボーカリストであるということを実感させてくれる。マーシーこと遠藤昌巳(ベース)も冒頭からステージ前に出てきて観客を煽るように手拍子をするのだが、「フルドライブ」とキラーチューンの連打っぷりによって何だか少しまた変わったような気がしたのは、関とヨコイもこれまでよりもさらにコーラスをするようになった、つまり4人全員で歌っていると思えるようになっているところだ。この4人でのKANA-BOONという感覚がさらに強くなっているからこそ、「フルドライブ」でもタイトル通りの疾走感をさらに強く感じることができるのである。

 


 

さらに関が力強くドラムを連打して始まったのは「盛者必衰の理、お断り」で、間奏部分で鮪がメンバーそれぞれを紹介するという新たな形になっているというのもこれが今のKANA-BOONであるということをさらに強く示すようなものになっている。もちろん鮪による「寿限無」のフレーズの歌唱も実にリズミカルであるし、ヨコイと遠藤がステージを左右に走り回るようにしたりと、この4人でライブを重ねてきたことによって間違いなく今のこのKANA-BOONが極まってきているということを感じさせてくれるような演奏である。

 

「ファッションミュージック鳴らさないと生き残れないこの世界で10年以上続いてきた俺たちKANA-BOONがキュウソの同志です!」

 

そんな今のKANA-BOONが生み出した新たな名曲「ラブアンドマスターピース」も関の軽快なドラムと遠藤の跳ねるようなベースによって観客が飛び跳ねまくる新たなKANA-BOONのダンスチューンとして完全にライブにおけるキラーチューンにもなっている。そこには鮪の信条的なメッセージが歌われているが、それがちゃんと届いているということでもある。

 

さらには鮪がギターを刻んで始まり、ヨコイがステージ前に出てきてギターを鳴らす「ないものねだり」へとそのKANA-BOONのダンサブルなキラーチューンは続いていく。以前は最後のサビ前に難しめなコール&レスポンスを展開していたが、今は実にシンプルなコール&レスポンスになっているというのもブラッシュアップされた今のこの曲の形というものだろう。もちろん大合唱がこの会場全体に響き渡っている。

 

そんな中で鮪は

 

「キュウソはいつも面白いところを見せてくれるけど、本質はカッコいいロックバンドの部分だと思ってて。俺たちはキュウソのそういう部分に何回も救われてきた。そのキュウソが俺たちのことをロックバンド、仲間だと思って呼んでくれたのが本当に嬉しい」

 

とキュウソへの想いを口にする。それは同じように熱い部分を音楽とライブに込めてきたバンドだからこその想いだとも言えるだろうし、そこをちゃんとフィーチャーするというのは鮪が本当にキュウソのライブをずっと観てきたということでもある。

 

そんな想いを全て音にして鳴らすかのようにして性急なビートとギターによる「まっさら」が鳴らされる。もちろんこの曲でも鮪の歌唱は実に伸びやかに響き、メンバー全員と観客によるコーラスの大合唱は力強く響く。その光景を見ていると、色々なことがあったけれどやっぱりKANA-BOONはまだまだ大丈夫だなと思わせてくれるし、それはこうしたこれまでの代表曲であり名曲だけではなくて最新リリース曲の「日々」という今のKANA-BOONの生み出した新たな曲もまた紛れもなく名曲と言えるものだからだ。遠藤が作曲したということによるものか、重いベースのイントロによって始まってサビにいくにつれて開放感を感じさせるようなスケールの大きさを感じさせてくれる。結局、形が変わったロックバンドを聴き続けることができるかというのは新たに生まれてくる楽曲がいいかどうかでしかない。KANA-BOONは今でも自分たちを更新するような曲を作り続けているからこそ、これからもその音楽を聴いてライブを観ていたいと思えるバンドであり続けている。

 


 

「最新の俺たちをしっかり観てもらおうっていう曲もやったけれど、最後は思いっきり楽しもう!タオルをグルグルグルグルしちゃう?(笑)」

 

SHISHAMOの「タオル」のフレーズを引用して最後に演奏されたのは、イントロのヨコイのゾンビポーズ(タイアップアニメに合わせたものだと言えるだろう)も完全におなじみになった「ソングオブザデッド」であり、サビではもちろんタオルが振り回されまくる。その光景は完全に夏フェスと言っていいものだったからこそ、これからもいろんなフェスの会場でこれを観ることができる、KANA-BOONのライブを観ることができると思った。きっとキュウソのメンバーもそう思ったりして、これからも刺激を与え合っていく。

 


 

スペシャ列伝ツアーの時のインタビューでキュウソのヨコタは

 

「最初はKANA-BOONとその他のバンド、みたいなツアーになるかもしれないって思ってた」

 

と言っていた。確かにその時はKANA-BOONが飛び抜けつつある存在だった。でもあれから10年以上経って、KANA-BOONとキュウソはずっと隣を走ってると思えるようになった。

 

 

1.シルエット

2.フルドライブ

3.盛者必衰の理、お断り

4.ラブアンドマスターピース

5.ないものねだり

6.まっさら

7.日々

8.ソングオブザデッド

 

Writer:ソノダマン

Photo:鈴木公平

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